ネットワーク(NW)オペレーションは19世紀から変わってない!?21世紀も四分の一が終わろうとしている今、ようやく次の革命が始まるかもしれない。そんな近未来を考察します。
NWオペレーションの高度化とデータ分析
NWオペレーションの高度化の歴史は自動化の歴史です。技術の進展により、効率化が進められていますが、電話交換機が発明され、「つなぐ」技術が自動化(これをNWオペレーションの第一次革命以降と呼んでみる)された19世紀末以降、「なおす」技術は何も変わってないのではなかろうか?という仮説のもと、新たなAIの登場とデータ分析がもたらす根本的な変化への期待を説明します。
ハードは壊れる、ソフトにはバグがある、そしてヒトは間違える。
通信事業の、ある大先輩からの受け売りの言葉です。これを前提にオペレーションせよ、と教わりました。
これは、通信に限らずあらゆる生活インフラ(電気、ガス、水道、道路、鉄道等)や工場、倉庫等の保守運用、設計構築に通じる真理だと思っていますし、NWオペレーションの第一次革命以降、変わっていません。
かなり乱暴ですが、不具合が表面化したあとのインフラのオペレーションの流れは以下になります。そして、どんな不具合であっても最後はヒトが活躍するのです。
第二次革命に向けた取り組み
第二次革命後の世界とは、ハードの交換作業以外のことですが、ヒト以外の何かによってなされる世界です。この革命に向けたいくつかの技術的アプローチを紹介します。
アプローチ① 発生してしまった不具合を、どうすればもっと早く治せたか
過去のノウハウやデータから、よくある故障(定型故障)であれば、対応(NW装置のリセット等)を自動化できるかもしれません。
自動化の手法は様々ありますが、RPAツールWinActor®も一つの解かもしれません。
また、近年発展目覚ましい生成AIがエキスパートに代わって対処方法を提案/実践する「ナレッジ駆動型運用自動化ソリューション」も解になりえます。
アプローチ② 不具合を表面化させないためにできることはなかったか。
設備の二重化等で、不具合が発生してもサービスには影響を与えないアーキテクチャの構築が可能です。ただし、コスト面がクリアできれば、という条件付きではあります。
また、不具合が発生する前に予兆を検知できれば、予防保全で交換やリセット等ができます。これらにはsyslog等のソフト解析、異音検出、振動検出等、ハード特性によるチューニングが必要となります。
弊社ソリューション@DeAnoSにご興味ある方は、第4回コラム「"いつもとここが違う"をAIが検知!」や「AI異常予兆検知ソリューション @DeAnoS」を参照ください。
いずれにしても、ノウハウをデータ化し、分析することがキーとなる技術になりますが、それでも現時点では最後はヒトが介在します。
もし、ヒトが介在しないオペレーションが実現できたなら、それは、第二次革命といってよいと思うのです。
さいごに
医療の現場でもAIの活躍は目覚ましいらしいですが、AIは「診断支援」はしますが、「診断」は人の仕事だそうです。
事故発生時の責任とか賠償とかいった法律問題がからむためらしいです。
インフラオペレーションの間違いも、時と場合によっては、責任や賠償の問題は発生することもありますが、一部の機能においては、医療診断や自動車の自動運転よりはハードルが低いのではなかろうかと思います。
現時点では最後の砦がヒトであることに変わりはないが、ヒトより反復動作が得意なソフトウェアが、たとえ潜在バグがあっても動いているように、AIがたとえ間違えることがあっても、人よりは間違えないと言えるようになれば、NWオペレーションがデータ分析とAI技術で電話交換自動化以来の第二次革命を起こすのも近いかもしれません。そしてその次は、ハードの交換もすべてヒト以外の何かが行う第三次革命もSFだけの世界ではなくなるかもしれません。
執筆者
NTTアドバンステクノロジ株式会社
アプリケーション・ビジネス本部 DXビジネス部門
荒川 守人(あらかわ もりひと)
略歴
NWシステム、オペレーションシステムの開発に従事
現職では、NWオペレーションの高度化やデータサイエンスに従事。
AIデータ分析コラム
このコラムは、NTT-ATのデータサイエンティストが、独自の視点で、AIデータ分析の技術、市場、時事解説等を記事にしたものです。
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