【第4回】"いつもとここが違う"をAIが検知!
様々な社会基盤を支えるAI異常予兆検知
金融、製造、運輸、通信など、あらゆる産業において、そのビジネスを支えるシステムは高度化・複雑化の一途をたどっています。これらのシステムは、生活と深く結びついて日々の暮らしを支えているため、ひとたび障害が起きると利用者に大小さまざまな混乱をもたらすことになります。例えば、コンビニで電子決済をする、店舗に新製品が並ぶ、宅配を受け取る、メールを受け取る、など、いずれの行動においてもシステムの安定稼働と縁のない活動はありません。いつもの毎日をあたり前に過ごすためには、これらシステムが、いつも通りにトラブルなく稼働し続けることが前提となっています。
通常、システム運用者は、システムの安定稼働に向けて、ハードウェア、ソフトウェア、ネットワークなどのあらゆるログを収集・監視し、知見や経験に基づいて閾値やルール、対処手順をあらかじめ決めておくといった手法などで対応しています。しかし、このような手法では、その設定やルール変更がとても煩雑なうえ、システム運用者の知らない(つまり想定外の)異常については設定ができず異常を検知することができません。大規模障害や突発的な停止を未然に防ぐルールを人間があらかじめ作成するのはとても難しいことです。もし、未知のシステム障害も含めたトラブルの発生を予見できれば、実際の暮らしに影響がでる前に、その対応を行い安全に対処することができます。
正常時のデータをAIで学習し、異常を見分ける
近年、収集した大量の監視データを機械学習や深層学習といったAIで分析し、異常を検知する技術が実用化されています。NTT-ATが提供する@DeAnoS(アット・ディアノス)※もその1つです。正常運用時の監視データからAIを用いて「いつもの正常な状態」の特性を自動的に学習し、それらと異なる状態を「いつもと違う状態」として検知してお知らせします。このようなアプローチであれば、閾値やルールの設定が容易になるうえ、これまでは見逃していた異常、さらには未知の異常の発見も可能となります。
@DeAnoSでは、異常を検知した際に、どの監視データがいつもと違うのか、も特定することができます。異常の特徴にもとづき、一次対処を自動的に行うような仕組みを作りこむこともできます。この先不具合が発生しそうなサーバをAIで特定できれば、事前に手を打つ方が賢明でしょう。ユーザ利用が制限される夜間の時間帯に、異常が予見されるサーバを念のため再起動することなどで突然のトラブル発生を避けられます。このように、監視データの収集から故障時等の保守オペレーションまでを自動化できれば、システムの保守は今よりもっとスマートになります。
様々な社会基盤を支える複雑なシステム運用において、AI技術は今後ますます重要になってくると考えられます。
※「@DeAnoS」は、NTT研究所が開発したディープラーニング技術に基づく異常予兆検知技術”DeAnoS®”を搭載しています。
「DeAnoS®」は日本電信電話株式会社の商標です。
関連する商材
AI異常予兆検知ソリューション @DeAnoS執筆者
デジタルAI事業本部 アドバンスデータアナリシスビジネスユニット
渡邊 友紀(わたなべ ゆき)
データ分析・AIを活用した業務改善及びシステム構築に携わる。大規模大学のシステム運用経験を活かし、お客様を深く理解し、真の問題発見と解決を共に行うことをモットーとする。
AIデータ分析コラム
このコラムは、NTT-ATのデータサイエンティストが、独自の視点で、AIデータ分析の技術、市場、時事解説等を記事にしたものです。
※本コラムの著作権は執筆担当者名の表示の有無にかかわらず当社に帰属しております。
AIデータ分析シリーズ
- ソリューション
- パッケージ(Spotfire、TIBCO製品)
※DeAnoSは日本電信電話株式会社の登録商標です。
※当社とNTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション(株)は、Spotfireの販売契約を締結しています。
※TIBCO、Spotfireは、Cloud Software Group, Inc.の商標または登録商標です。