ネットワーク関連の技術用語集
- ネットワーク種別
- ネットワークの転送系技術
- ネットワークのサービス制御系技術
- ネットワークの構築系技術
- ネットワークの運営系技術
- ネットワークのプロトコル
- ネットワークのサービス
- ネットワーク機器構成技術
ネットワーク種別
技術項目 | 概要 |
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PSTN | 「PSTN (Public Switched Telephone Network) 」は、一般の加入電話ネットワークのことであり「加入電話網」や「公衆電話網」等とも訳される。PSTNは100年以上に渡り通信サービスを支えてきた実績があり、その構築・運営ノウハウがTECの技術の基礎となる。IP技術で構築されるNGN (Next Generation Network; 次世代ネットワーク) においてはIP独自の特質を踏まえ、PSTNで長年に渡り築き上げたノウハウを展開する必要がある。 |
NGN | 「NGN (Next Generation Network; 次世代ネットワーク) 」は、従来の電話交換機による電話網に代わり、電話サービスだけではなく映像配信をはじめとする多様なサービスの提供をIP技術をベースとしたネットワークにより実現することを狙った新しい情報インフラとして位置づけることができる。また、NGNは、インターネットと携帯通信の急速な進展によるブローバンド・ユビキタス社会への発展に向けて解決すべき課題が顕在化してること (例えば、品質の確保、サイバーテロに対する安全性の確保、不正取引などの防止、固定・携帯のシームレスなサービス提供など) への新しいネットワークの取組みとも言える。 |
ネットワークの転送系技術
技術項目 | 概要 |
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GMPLS | 「GMPLS (Generalized Multi-Protocol Label Switching) 」は、IPネットワークで用いられるパケット転送技術であるMPLSをノンパケットベース(光波長、光ファイバ、SONET/SDHなど)の通信回線に適用するために拡張した技術の総称で、IETFを中心に標準化が進められている。複雑なネットワークの制御を統合する技術として、サービス運用面および保守監視面から今後期待されている。 |
ネットワークのサービス制御系技術
技術項目 | 概要 |
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IMS | 「IMS (IP Multimedia Subsystem) 」は、音声や映像などさまざまなマルチメディアサービスをIP技術を用いて提供するためのシステム。移動通信関連の仕様を策定している3GPPにて検討が開始され、NGNのコアとなる技術として採用された。 |
SDP (Service Delivery Platform) |
「SDP (Service Delivery Platform) 」は、サードパーティとキャリアが連携して多彩なサービスを効率的に生み出すためのサービス開発基盤である。各国のキャリアがサードパーティに対して網の機能を公開する動きを見せる中、SDPの注目度は益々高まっている。 |
ネットワークの構築系技術
技術項目 | 概要 |
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品質設計 | 品質設計とは、ユーザに高品質で経済的なサービスを提供するためのネットワーク品質技術の一つであり、サービスの品質目標を満足するための、ネットワークの性能・機能条件を定めるものである。 |
信頼性設計 | 通信ネットワークにおける信頼性とは、通信ネットワークを構成する設備の故障が発生しない性質、そして故障が発生した場合には早期に回復する性質を示し、故障によるサービスの中断の影響を極力抑えるよう通信ネットワークの設計・開発、および運用・管理を実施する技術である。 |
帯域設計 | 帯域設計では、運用管理しているネットワークのトラヒック状況から将来のトラヒックを予測し、将来どの程度の帯域が必要かを算出することにより、設備設計等に役に立てることができる。 |
トラヒック予測 | ネットワークの設備設計にあたっては、トラヒック予測及び提供サービスの需要動向を把握することが必要である。通信業界は技術革新が著しく、社会環境、新サービスの普及、料金体系の見直し、サービスを利用するユーザの価値観の多様化等による市場構造の変化が激しいため、通常、トラヒック予測は困難である。しかし予測により定量的な指標を与えることは、ネットワーク設備設計及び構築・運用に有効な基礎情報となる。 |
QoS | QoS議論には様々なレベルがあるが、サービスQoSは「ユーザレベル:お客様が実感する品質」で議論することが基本である。ユーザレベルQoSを特にQoE (Quality of Experience) とも呼ぶ。ユーザレベルQoSを定量化するために、ユーザがサービスコンテンツ (音声、映像等、マルチメディア等) に対してどの程度満足しているかを測る方法として、主観評価法や客観評価法がある。それぞれの評価方法や評価尺度に関しては、各国で検討され、ITUによって標準化されている。 |
移行方式 | 既存網を次世代網へ移行する方法は、リプレイスとオーバレイの2つに分類される。リプレイスはネットワークを構成する機器や回線を、既存のものから新しいものに交換するアプローチであり、オーバレイは既存網とは別に次世代網を構築し、既存網と次世代網を相互接続するアプローチである。どちらをとるかはネットワーク規模、サービスへの影響、コスト、移行期間等を考慮する必要があり、状況に応じて選択する。 |
ネットワークの運営系技術
技術項目 | 概要 |
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ネットワーク運用 | 安全で信頼性のある効率的なネットワークを運用する上で必要とされる技術は、アラーム監視・故障切り分け等、ネットワークの運転状況を監視し異常時に即応できるリアル系技術と、ネットワーク全体のトラヒック管理あるいはリソース管理等を一元的に運用・評価するマネジメント機能であるノンリアル系技術に大別される。大規模化、複雑化するネットワークを効率良く運用するためにはこれらの技術が非常に重要となる。 |
トラヒック制御 | 通常と異なる一時的なトラヒックが通信設備に加わることにより、電話やインターネットがつながらないといった状況が発生し、つながらないことで再呼や正常な処理のためのリソースが圧迫され、その結果ネットワーク全体の性能低下が起こる。トラヒック制御 (traffic control) の目的は、ネットワーク全体が性能低下を起こさないように制御することである。 |
トラヒック監視 | トラックを監視し、トラヒックデータを分析することにより、帯域設計、適切な設備量の把握や、障害発生前にトラヒック制御を行うことができる。 |
品質監視 | 品質監視の目的は、アプリケーションの品質測定/ネットワークの測定/サーバ状態などネットワーク全体の情報を収集し、蓄積することでネットワークの挙動を把握し、さまざまな対処、設計、最適化を行うことにある。ユーザに提供する品質を管理するには、サービス品質・アプリケーション品質・ネットワーク品質と各階層に応じて、別々の要因が影響してくるため、複数のデータを関連付けて管理していく必要がある。 |
番号方式 | ITU-T勧告で規定されているE.164番号計画を基に策定され、発信者がエンドユーザまたはサービスとの間の呼の設定に用いられる番号。契約している電気通信事業者やサービス等を変更しても電話番号はそのままで利用できることを番号ポータビリティという。IP化されたネットワーク用に、電話番号をSIP URI等に変換する仕組みをENUMと呼ぶ。 |
ネットワークのプロトコル
技術項目 | 概要 |
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トランスポート系 | |
IPsec | 「IPsec」は、インターネットの標準プロトコルであるIP層にセキュリティ機能を追加するためのプロトコルの集合体。暗号機能と認証機能を持ち、暗号技術を用いてIPパケット単位でデータのセキュリティを確保できる。IPsecの標準化活動は、IETFに設置されたIPsecワーキンググループにより、多くのRFCとして公開されている。 |
IKE | インターネットVPNのIPパケットの暗号化と認証を行うIPsec技術において、SA (Security Association) を動的かつ安全に、生成/管理する鍵交換プロトコルとして、IKE (Internet Key Exchange) が規定されている。 |
マルチキャスト | 「マルチキャスト」は「一対多」の通信である。一箇所の情報送信元から限定された複数の受信者に対して同時に情報を配信すること。情報の送信元から共通に利用できる通信経路を共通利用しながら、途中で枝分かれを繰り返して、同じ情報の配信を受ける全ての受信者に情報配信を行うので、各リンクでは転送すべき情報に見合うだけの通信帯域を消費するだけで済むという利点がある。 |
サービス制御系 | |
SIP | 「SIP (Session Initiation Protocol) 」は、IP電話やビデオ会議等のサービスに利用される呼制御プロトコル。IETF規定のRFC3261がベース仕様。IPネットワーク上で音声や映像等のリアルタイムのマルチメディア通信 (セッション) を確立、制御、切断するために用いられる。 |
SDP (Session Description Protocol) |
「SDP (Session Description Protocol) は、マルチメディア通信開始時、相手先にパケット符号化方式等のメディア詳細や宛先アドレス等、セッションに関わる情報を伝えるセッション記述文書のフォーマット。IETFのRFC4566で規定。交換方式はRFC3264で規定。SIPを始め様々なプロトコルで利用されている。 |
H.248 | 「H.248」は、ネットワーク上でマルチメディア通信を実現するためにMG (Media Gateway) およびMGC (Media Gateway Controller) 間で使用され、輻輳/過負荷制御、故障/警報、トラヒック観測機能などきめ細かい機能を提供することが可能なプロトコル。 |
Diameter | 「Diameter」は、AAA (認証、認可、アカウンティング) を実現するRADIUSの後継となるプロトコルであり、ピアツーピアモデルのプロトコル。RADIUSとの違いは、信頼性のあるトランスポートレイヤの採用やアプリケーションレベルでの接続状態の監視機能の追加などが挙げられ、RADIUSからの機能拡充が図られている。 |
Mobile IP | ユーザ端末が他のネットワークへ移動すると、通常、IPアドレスが変化して通信中のセッションは一度切れてしまうため、継続して通信を行うことができない。「Mobile IP」は、端末がネットワークを移動してもIPレイヤでのセッション継続性を目的とするプロトコルであり、移動に影響しないIPアドレスであるホームアドレス (Home Address) と、移動先ネットワークで使用するIPアドレスである気付けアドレス (Care-of Address) の2つのIPアドレスをサーバが管理し、通信を仲介することで実現する。 |
SNMP | 「SNMP (Simple Network Management Protocol) 」は、ネットワークを構築するシステムを監視し管理するためのプロトコル。SNMPはネットワークを経由して管理することが可能で、ネットワーク全体を管理する手段として最も普及しているプロトコルといえる。 SNMPを使用したネットワーク管理は、SNMPマネージャ/SNMPエージェント/MIB/SNMPプロトコル仕様から成り立っている。 |
sFlow | ネットワークの広帯域化に伴い、ネットワーク上を流れるトラヒック量は急激に増加している。そのため完全なネットワーク管理が困難となってきている。この状況を解決するために各ベンダはさまざまなネットワーク管理技術を提供しており、そのひとつに「sFlow」がある。 sFlowとはInMon社が開発したプロトコルであり、ネットワークトラヒックをスイッチやルータなどの中継機器によってリアルタイムに監視することができる。 |
プラットフォーム系 | |
Parlay/OSA API Parlay X Webサービス |
「Parlay/OSA」は、網機能のコンポーネントを上位アプリケーションに公開するためのAPI (Application Programming Interface) を規定している。Parlay/OSAでは、このAPIのほかにParlayX Webサービスを提供している。「Parlay API」は、プロフェッショナルなソフト開発者向けに、きめの細かい機能を提供しており、「Parlay X Webサービス」は、ネットワークに関する専門知識の少ないWebアプリケーションの開発者にも利用しやすい機能を提供している。 |
ネットワーク系 | |
OSPF | 「OSPF (Open Shortest Path First)」は、ドメイン内でIPパケットをルーティングするための情報をルータの間で動的に交換するプロトコルであるダイナミックルーティングプロトコルの一つである。 |
LMP | 「LMP (Link Management Protocol) 」は、2つのノード間のリンクを管理するためのリンクマネージメントプロトコルであり、GMPLSで使用される。現在は、RFC4204にて標準化されている。 |
PCEP | 「PCEP (Path Computation Element communication Protocol) 」は、MPLSおよびGMPLS網において、PCC (Path Computation Client) とPCE (Path Computation Element) 同士で、パス計算の要求メッセージおよび応答メッセージを送達するために用いられるプロトコルである。現在、IETFのPCE WGにおいて標準化が進められており、2008年7月末時点ではdraft-ietf-pce-pcep-12.txtが最新のドラフトとして公開されている。 |
RSVP/RSVP-TE | 「RSVP (Resource reSerVation Protocol) 」は、ネットワーク上のあるホストやサーバから、相手先へ送信されるデータフローに対して、そのデータフローが要求する帯域やバッファなどの資源 (リソース) をあらかじめ確保しておき、通信品質 (QoS) の制御を行うためのシグナリングプロトコルである。「RSVP-TE (Traffic Engineering) 」は、既存のRSVPをMPLS (Multi Protocol Label Switching) のトラヒックエンジニアリング技術に対応するために拡張されたプロトコルである。さらに、現在では、GMPLS (Generalized MPLS) に対応するために拡張されている。 |
アプリケーションサーバ | IMS (IP Multimedia Subsystem) 上で提供されるサービスを実現するための核となる機能群が「アプリケーションサーバ (AS) 」であり、SIP (Session Initiation Protocol) を利用して管理される。また、適切なASへアクセスするための条件判断のために、iFC (Initial Filter Criteria) が利用される。 |
共通線信号方式 | 「共通線信号方式」とは、通話回線とは別の専用の信号回線 (信号リンクと呼ぶ) を利用して呼処理又は網管理で使用する信号を転送する方式で、この信号回線を多数の通話回線によって共通に用いる方式であり、信号の高速転送や通話とは独立した信号転送等を可能としている。また共通線信号方式には、対応モードと準対応モードという2つのモードがある。対応モードが関連する信号局間を直接接続して信号を転送するのに対し、準対応モードは関連する信号局間を直接接続せずに信号中継局を中継して信号を転送する。 |
No.7信号方式 | 「No.7信号方式」は、通話回線の設定、解放などの回線対応機能とフリーダイヤル番号から加入者番号への翻訳などの高度サービスのための処理を行なう非回線対応機能に適用される。多様なサービスに柔軟に対応するため、MTP、SCCPなどのレベル分けされた機能構成ブロックで構成されている。 |
ネットワークのサービス
技術項目 | 概要 |
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IPTV | 「IPTV (Internet Protocol Television) は、IP技術を用いて映像コンテンツやデジタルテレビ放送を配信するサービス。ITU-TやETSI TISPANなど様々な標準化団体で仕様が検討されている。NGNの主要なサービスの一つとして注目されている。 |
FMC | 「FMC (Fixed Mobile Convergence) 」は、固定通信 (Fixed) と移動体通信 (Mobile) を融合したサービスを意味する。FMCには、(1) One Stop Billing: 固定網・移動体網の各サービス料金を一つにまとめて請求、(2) One Phone: 固定網・移動体網の両方に一つの端末でアクセス、(3) One Number: 固定網・移動体網の両方に一つの番号でアクセス、の3つの要素がある。 |
ネットワーク機器構成技術
技術項目 | 概要 |
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適合性検査 | 通信における相互接続性を向上させるため、機器が対象となるプロトコルの標準仕様通りに動作しているか確認するための検査として、仕様適合性検査がある。本検査は、IPv6 Ready Logo Programにより仕様適合性検査仕様として仕様化されている。 |
書籍のご紹介
『やさしいNGN/IPネットワーク技術箱
-これであなたもネットワーク技術のプロに-』
-これであなたもネットワーク技術のプロに-』
『やさしい次世代ネットワーク技術』