性能向上した透明発電ガラス「SQPVガラス」の評価用サンプルの提供開始
2024年09月30日

性能向上した透明発電ガラス「SQPVガラス」の評価用サンプルの提供開始

NTTアドバンステクノロジ株式会社
inQs株式会社

NTTアドバンステクノロジ株式会社(以下:NTT-AT、本社:東京都新宿区、代表取締役社長:伊東匡)とinQs株式会社(以下:inQs、本社:東京都港区、代表取締役会長:白井克彦)は、SQPV(Solar Quartz Photovoltaic:透明光発電素子)技術を活用した透明発電ガラス(以下:SQPVガラス)について共同で研究開発を進め、その発電性能と品質を大幅に向上させることに成功しました。

本研究成果をもとに製造したSQPVガラスの新バージョン(以下:V2版)の評価用サンプル(以下:ES品*1)を11月1日から提供開始します。

1.背景

NTTグループは、革新的な技術によってスマートな世界を実現するIOWN構想*2を提唱しています。本構想は、最先端の光関連技術および情報処理技術を活用した未来のコミュニケーション基盤であり、これまでのインフラの限界を超え、多様性を受容できる豊かな社会の実現をめざしています。また、本構想の一環として、地球温暖化対策、再生可能エネルギーのさらなる活用、限られたエネルギー資源の有効利用などをめざした「スマートエネルギー事業」の取組みも推進しています。

こうしたNTTグループの取組みのなかで、NTT-ATは、再生可能エネルギーによる循環型社会の実現に向けた取組みのひとつとして、2020年2月にinQsとSQPVガラスに関する国内独占販売契約を締結し、お客さまへの販売・導入を推進してきました。

NTT-ATとinQsは、SQPVガラスのさらなる性能向上および品質改善に関する共同研究を進め、今回、発電性能の大幅な向上に成功したことから、V2版の量産準備と並行して、各種利用方法をご検討いただけるお客さま向けにES品の提供を開始することとしました。

2.SQPVガラス V2版について

特長

30㎝角ガラス1枚が1セルである従来のSQPVガラスをマルチセル化(11×6セル)し、材料も改良することで、30cm角サイズ全体での出力値を大幅に向上させました。

  • 発電効率 1%
  • 発電性能 50mW以上(放射照度 100W/㎡照射時)
  • 可視光透過率 56%以上 


写真1:SQPVガラス V2版 外観

ES品提供

今回開発したV2版のさまざまな適用シーンをご検討いただくため、ES品として提供を開始します。

  • 名称:SQPVガラス V2版 ES品
  • 提供開始予定:2024年11月1日
  • 想定利用場所:屋内

3.今後の展開

NTT-ATとinQsは、V2版の安定供給に向けた体制を整えるとともに、屋内利用のみならず、屋外利用に向けたさらなる性能・品質向上や遮熱・断熱性能評価に取組み、SQPVガラスの適用領域拡大を推進していきます。

【展示会への出展について】

SQPVガラス V2版をみなさまにご覧いただくため、下記の展示会に出展します。

  • 「CEATEC 2024」:

2024年10月15日(火)~10月18日(金) / 幕張メッセ (inQs出展)

  • 「インターオプト2024 -光とレーザーの科学技術フェア-」:

2024年10月29日(火)~10月31日(木) / パシフィコ横浜 (NTT-AT出展)

  • 「産業交流展2024」:

2024年11月20日(水)~11月22日(金) / 東京ビッグサイト (inQs出展)

[参考1] SQPVガラスとは

SQPVガラスは、二酸化ケイ素をナノレベルに加工した透明光発電素子「SQPV」技術を活用した透明発電ガラスです。

  • 見た目は透明ガラスでありながら、電気を創ります。
  • 遮熱効果により空調などのエネルギー消費量を減らします。また、ヒートアイランド現象の低減にも貢献します。
  • 北面や室内光など弱い光でも発電できるので、電気が必要な“その場所”で電気を創ります。

[参考2] 使用例

2020年2月の販売開始以来、SQPVガラスと枠および発電した電力で可動するシステムのセットを窓ガラスの内窓として設置するタイプの実証試験および、可動型衝立としてオフィスフロアに設置するタイプの納品を行っています。


写真2:窓枠タイプ


写真3:可動型衝立タイプ

※写真は、SQPVガラス初期版(V1版)を用いた実証事例や納品事例です。V2版はマルチセル化により外観が異なります。

NTT-AT 会社概要 https://www.ntt-at.co.jp/

NTT-ATは、1976年の創立以来、NTTグループの技術的中核企業として、NTT研究所をはじめとした世界の先端技術を広く取入れ、それらを融合してお客さまの課題を解決し、お客さまにとっての価値を提供し続けています。「アプリケーション」、「マテリアル&ナノテクノロジ」、「ソーシャルプラットフォーム」、「トータルソリューション」の4つの事業領域を柱としてビジネスを展開しています。NTT-ATは、ICT技術の活用により環境エネルギーやデジタル化などの社会的課題の解決に貢献します。

inQs 会社概要 http://www.inqs.co.jp/

inQsは、2011年6月に設立された、発電素子において世界的に優れた技術力を持つベンチャー企業です。室内光や低照度環境(月明かりなど)下の光を高効率に電気エネルギーに変換できる極低照度型光発電素子SQ-DSSCは、基礎技術を開発した親会社の国際先端技術総合研究所株式会社(IFTL Inc.)とともに、米国シリコンバレーで開催されたID TechEX Showにおいて、Best Technical Development within Energy Harvesting賞(Energy Harvesting部門の技術開発最優秀賞)を受賞しており、IoTの自立電源に活用されています。さらに独自開発した無色透明光発電素子技術を用いたSQPVガラスは、ビルや建物、自動車などの窓を利用して、発電・採光・遮熱をもたらします。30㎝角ガラス1枚を1セルとしたSQPVガラス(V1版)の提供も引き続き行っており、『Reimagine Energy Harvesting』をテーマに、さらなる改良開発や新たな用途向けの開発も進めています。本SQPVは、2024年アメリカラスベガスで開催されたCES2024にて、3部門でAWARDを受賞しており、Smart Cities部門ではBest of Innovation賞を受賞しました。


本リリースは、NTTグループが展開するGXソリューションブランド「NTT G×Inno(エヌティティ ジーノ)」*3の取組みのひとつです。
 


URL: https://group.ntt/jp/group/nttgxinno/


 

*1 ES品:
Engineering Sample
量産体制構築に先行して提供するものです。SQPVガラスを利用したソリューション開発やSQPVガラスのパッケージデザイン検討などを目的とした企業様を中心にご提供することを想定しています。
なお、量産化の段階や改善の都度、性能・仕様が変更となる場合がございます。
また、ES品の分解・内部構造解析・リバースエンジニアリングなどや海外への輸出・転売を目的としたお客さまへの提供はお断りさせていただきますことをあらかじめご了承ください。
*2 IOWN構想:
https://www.rd.ntt/iown/0001.html
*3 「NTT G×Inno」は、日本電信電話株式会社の商標です。
「NTT GX(Green Transformation) × Innovation」の略称であり、社会へのソリューション提供を通じてGX分野でInnovation(変革)をおこし、2050年カーボンニュートラルの実現に貢献していく取組みです。


※本文中に記載されている会社名および製品名は、各社の商標または登録商標です。
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