KTN結晶による波長可変技術を応用した、厚み計測装置向け高安定光源を新開発
2017年01月24日

KTN結晶による波長可変技術を応用した、厚み計測装置向け高安定光源を新開発

浜松ホトニクス株式会社
エヌ・ティ・ティ・アドバンステクノロジ株式会社
日本電信電話株式会社


浜松ホトニクス(本社:静岡県浜松市、代表取締役社長:晝馬 明)、エヌ・ティ・ティ・アドバンステクノロジ(本社:神奈川県川崎市、代表取締役社長:木村 丈治、以下 NTT-AT)、および日本電信電話(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:鵜浦 博夫、以下NTT)は、タンタル酸ニオブ酸カリウム(KTN)光スキャナーを応用した、発振波長を時間とともに周期的に変化させる高安定な波長掃引光源を新たに開発しました。今後の市場の拡大が予想されるパワーデバイス用シリコンウエハの厚み計測装置用途に、4月から浜松ホトニクスとNTT-ATの両社が国内の厚み計測装置メーカーに向けてサンプル出荷を開始します。

なお、本開発品は、1月28日(土)から2月2日(木)までの6日間、米国カリフォルニア州サンフランシスコで開催される国際会議SPIE フォトニクス・ウエスト(Photonics West)の併設展示会に出展します。

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KTN光スキャナーの仕組み

開発品の概要

本開発品は、入射してきた光の進む方向を電圧で高速に制御できるKTN光スキャナーを応用して、光共振器内の回折格子に入射する光の角度を制御して時間とともに発振波長を周期的に変化させる、パワーデバイス用シリコンウエハの厚み計測装置に適した波長掃引光源です。

3社は、NTTが開発したKTN光スキャナーを応用し、主に生体組織表層の高精細な断層像を撮影する光干渉断層計(Optical Coherence Tomography:OCT)に用いる波長掃引光源の開発、販売において連携してきました。今回、産業分野へ応用を広げ、パワーデバイス用シリコンウエハの製造現場で使用される厚み計測装置向けの波長掃引光源を開発しました。

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KTN光スキャナーを応用した波長掃引光源の光共振器内部構造

パワーデバイスは、主に電力制御のために自動車、鉄道、変電所などの幅広い分野で使用されており、社会インフラの整備などによる市場の拡大が期待されています。パワーデバイス用シリコンウエハは、一般的に厚さ100マイクロメートル(以下μm、μは百万分の1)程度まで高速で研磨するため、高精度な厚み計測装置に使用可能な高安定光源が求められていました。

現在主流のOCTに使われている波長掃引光源は、ミラーを機械的に動かして波長を周期的に変えるため、装置の振動の影響を受けやすくなっています。製造現場で使用するにはこの振動の影響を抑え、長時間の安定的な連続動作を可能にする必要があります。本開発品は、入射してきた光の進む方向を電圧で高速に制御できるKTN光スキャナーを用いることで機械的な可動部がなく、振動の影響を抑えられるため、長時間の安定的な連続動作が可能です。また、材料の見直しおよび温度制御方法の改良により、光源周囲の温度変化による計測結果への影響を低減し、高い計測結果の再現性を実現しています。さらに、KTN結晶に青色LEDを照射すると、KTN光スキャナーの動作が短時間で安定するという性質を利用して、波長掃引光源が安定動作するまでの立ち上がり時間を短縮しました。このように、長時間の安定的な連続動作、高い計測結果の再現性、安定動作までの立ち上がり時間の短縮を実現したことで、製造現場での使用が可能となります。また、光源の中心波長を、他の波長と比較して不純物に吸収されにくい1.3μmとすることで、不純物濃度が高いパワーデバイス用シリコンウエハの厚みを高精度に計測できます。なお、本開発品の構成部品である半導体光増幅器は、NTTグループであるNTTエレクトロニクス株式会社が開発しました。これは、中心波長1.3μmで、気密封止に工夫をして信頼性を高めたものです。

今後は、動作の高速化、発振波長範囲の拡大などの高性能化を図り、医療、産業などさらに幅広い分野への応用を進めていきます。また、2018年1月から海外に向けてもサンプル出荷を開始する予定です。

開発品の特徴

1. 安定的な長時間の連続動作

本開発品は、入射してきた光の進む方向を電圧で制御できるKTN光スキャナーを用いているため機械的な可動部がありません。ミラーを機械的に動かす波長掃引光源と比較して振動の影響を抑えられ、製造現場で求められる5,000時間以上の安定的な連続動作が可能です。

2. 高い計測結果の再現性

熱膨張率が小さい金属材料の採用およびKTN光スキャナー内の温度を計測、制御する方法の改良により、温度変化による計測結果への影響を低減しました。この結果、光源周囲の温度が摂氏20度~30度の範囲で変化する環境下での、標準的なウエハの厚み計測精度の誤差を0.06μm以下としました。

3. 安定動作までの立ち上がり時間を短縮

KTN結晶に青色LEDを照射することで、KTN光スキャナーの動作開始から結晶内の電荷分布が定常状態になるまでの時間を短縮できることを発見し、10分以上必要だった安定動作までの立ち上がり時間を3分に短縮しました。

4. 中心波長1.3μm

光源の中心波長を、他の波長と比較して不純物に吸収されにくい1.3μmとすることで、不純物濃度が高いパワーデバイス用シリコンウエハの高精度な厚み計測を可能としました。

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波長掃引光源外観

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浜松ホトニクス株式会社

広報室 野末迪隆
TEL: 053-452-2141、080-8262-0374

エヌ・ティ・ティ・アドバンステクノロジ株式会社

先端プロダクツ事業本部 営業SE部門
TEL: 046-270-2075

日本電信電話株式会社

先端技術総合研究所 広報担当
TEL : 046-240-5157

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浜松ホトニクス株式会社

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TEL: 053-434-3311

エヌ・ティ・ティ・アドバンステクノロジ株式会社

先端プロダクツ事業本部 営業SE部門
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