お客さまの声

スムーズな資料共有と理解度チェックで、ユニークかつ質の高い講義を実現! 福岡大学様 学生がいきいきと議論できる教室づくりをめざし、グループ学習にペーパーレス講義を導入

― 「学生たちには、ぜひ学校を好きになって、楽しく学んでほしい。」

中國 真教氏

総合情報処理センター
研究開発室
准教授 博士(工学)中國 真教 氏

20,000名を超す学生が65ヘクタールの広大なキャンパスで学ぶ、西日本有数の総合大学「福岡大学」。先進的な教育研究システム「FUTURE」(Fukuoka University Telecommunication Utilities for Research and Education)と呼ばれる高速光通信ネットワークと高性能サーバ群を組み合わせた巨大な情報基盤を独自に構築・運用し、たとえば全教室で約1,400台のシンクライアントPCを一元管理するなど、学生と教職員が安心・便利に利用できる教育環境づくりを積極的に進めている。創立75周年を迎えた2010年秋、その4世代目にあたるシステム「FUTURE4」導入に際し、講義の場に実験的に取り入れたのが、NTT-ATのペーパーレス講義支援システム『MeetingPerfe』(ミーティングパフェ)だ。その導入を推進した総合情報処理センターの中國真教先生に、新しい教室に込めた「想い」を語っていただいた。
少人数グループ学習への取り組み

「今回、教育効果を高めるため、少人数向けの講義を支援するシステムとして実験的に導入しました。これまでもPCを活用してきましたが、50~60台のPCが横一列に並んでいるような教室で一斉に講義をする形式でした。PCはあくまで個人作業用で、グループ学習には向いていませんでした。
そこで、30台かもっと少ないPCを導入した教室で、班に分かれてグループ学習ができる環境を整えたいと思ったのが発端です。グループ学習の際に何が必要かを検討したところ、1つの画面を見ながら複数の学生たちが討論しあえる環境が必要だと考えました。いろいろと商品を探した結果、『MeetingPerfe』に出会いました。」

─どんなところが先生の心をとらえたのだろう?

「ネットで調べて『MeetingPerfe』のことは知っていました。その後、展示会でデモを見たり、実際に操作してみたところ、イメージに合うものだと確信しました。ポイントは、ページめくりの同期/非同期がスムーズで、端末台数が増えてもサクサク動いたこと。そして、自分のメモを書き込めたり、そのメモをみんなで共有できるなど細かい機能が揃っている点が非常にありがたいソフトウェアだと思いました。実績豊富という安心感もあって。
他に検討したツールとして、リモートデスクトップは1対1の通信だったので、複数のPCで使える『UltraVNC』で代用しようなどと考えていました。これはネットワークにつながった他のPC画面を遠隔操作できるフリーソフトですが、台数が増えるとページ連動がちょっと遅くなります。」

理解度チェックで、教育の質向上に

─講義では、どのように活用しているのだろうか?

「まず『UltraVNC』で画面を共有して資料を作り上げ、できあがった資料を『MeetingPerfe』で共有して議論をする、というように使い分けています。テキストはサーバにアップしておいて予習・復習に活用してもらい、授業の時はペーパーレスで行います。直接プラズマディスプレイに書けるので、黒板に書くのとほとんど変わらないですね。」

─個人的にもペーパーレス化に取り組んでいるという中國先生。あちこちに出張するので、どこでも仕事ができるように紙の書類は持ち歩いたりしない。しかし、今回は「エコだから」とはあえて言わず、純粋に教育効果だけを追求して選んだという。
しかし、学内で誰もこのようなシステムを見たことがなかったので、みんなに伝えるのに苦労したそうだ。比較的似た機能を持つ『UltraVNC』でデモを見せつつ説明したことも。
また、学内には総合情報処理センターから「こういう使い方をしてください」というような具体的な活用方法の提案はしていないという。

「これまでの福大には無いユニークなものを用意したので、皆さんのアイデアで教室を活かすように使ってほしい、と考えました。」

─資料とメモの共有、というシンプルな機能だからこそ、使い方の幅はどんどん広がっているようだ。

「私の講義では『MeetingPerfe』を使って資料をみんなで共有しています。一通り私が説明しますが、ところどころ学生自身でメモを取ってほしいんです。タブレットPCを使っているので、ペンでメモが書けるようになっていて、授業が終わるとノート代わりにメモを提出してもらいます。出欠を取ると同時に授業をどのくらい理解しているかチェックしています。『この学生はここが理解できていないな』というところはきちんとフォローをして、学期が終わる頃にはきちんと授業を理解してもらおうと考えています。私自身としても『教え方がまずかったかな』と復習になるので、その部分は次回に説明を補ったりして、講義の質の向上につなげていきたいですね。」

─他の先生からの反応も、「これ、いいじゃない」という声をもらっているという。

「意外にも、中国語の学習で活用しているようです。そこでは、短編の映画のようなものに対して日本語で字幕を付けていくという講義をしていて、字幕は別のソフトで付けるのですが、できあがった映画について複数の学生で議論をしながら講義を進めます。難易度が高いので一人ではなかなか進みませんが、何人かのグループで議論することでなんとか1つの作品になっていきます。」

─今後はこのような利用例を紹介して、学内へもっと広めていきたいと中國先生は目を輝かせる。

自分の意見を主張する、学生主体の講義を

─もちろん、全ての講義でこのようなグループ学習が効果を発揮するとは限らない。それでも、導入を決意したのはなぜだろうか?

「通常の講義と比べて得られるものが多いと考えています。おそらくゼミなどで使われることが多いでしょう。今の学生は自分の意見を主張しない人が多いと感じます。社会に出た時に自分の意見を主張するのは非常に重要なことなので、きちんと主張する訓練を兼ねて、このような環境を整えました。教員がいなくとも学生がどんどん議論して講義が進んでいくイメージです。もちろん実際には教員はいるのですが、教室内を歩き回って各グループでどんな議論をしているかを観察しつつ、たまに入ってコーディネートする程度。つまり、あくまで主体は学生、ということですね。」

─導入時、あまり機能が多すぎても使いこなせなくなると考えていた中國先生。学生の使いやすさにこだわり、細部まで気を配った。

「画面のメニュー等も、ぱっと見て分かりやすかったりビジュアル的に良いものは学生に受け入れられやすい。第一印象は大事なので、見せ方の改善はお願いしました。」

─学生たちには、学校に愛着を持って、好きになってほしい――そんな想いから、福大ではブランドをとても大切にしている。

「学内でも様々なところに福岡大学のロゴを出していますし、『MeetingPerfe』のログイン画面にもロゴを載せています。そして、せっかく学ぶなら楽しく学んでほしいです。教える側も新しい環境になるとモチベーションが上がります。ぜひ、そのための環境を整えていきたいと思っています。」

─現在2つの教室が『MeetingPerfe』に対応しているが、一度その教室を使った学生はリピーターになるほどで、とても評判が良いという。
先生がよく見かけるのはレポートを一緒に書いている光景。学生同士が相談しながらその場で情報を調べ、各自が調べた内容を持ち寄ってレポートを作り上げる。まさに学生主体の1シーンだ。

FUTURE4で実現したグループ学習向け教室
『MeetingPerfe』で資料を一斉表示した様子。テレビ会議システムを併用し、遠隔講義にも対応。学生の机は人数や組み合わせ次第で自在に配置できる真っ赤な三角形。赤を選んだのは、活発な議論を交わしてほしいとの想いから。充実の設備に、訪れた卒業生もうらやましがるという。

学生のPCは共有で、講義前に各自がロッカーから取り出す。もちろんセキュリティも万全だ。

福岡大学「FUTURE4」の全体構成
学生が「滑らかに」社会人になれるように

─最近、小中学校では電子黒板などの導入が進み、教育現場のIT化の流れは勢いを増している。

「当然、大学でもITを導入していくべきだと考えています。今後そのような世代が入学してきた時、『なんだ、大学ってこんな環境なのか』とがっかりしてほしくない。ですから、小・中・高校の動向を見つつ、どんな環境を整えていくか検討していきたいと思います。
また、福大では、卒業してからすぐに第一線で活躍できるような人材の育成に尽力しています。
そのために、できるだけ滑らかに社会人になれるような環境を整えています。システムもなるべく最新のものを取り揃えて時代の流れを感じてもらい、すんなり社会に出ていけるように。たとえば、企業で業務に使われているような一般的なアプリケーションは教育の場でも積極的に活用していきたいと考えています。」

─1994年にはじまった福岡大学独自の教育研究システム「FUTURE」は今回で4世代目。常に最新の技術やサービスを取り入れ、先進の教育環境の提供に向けてチャレンジを続けている。
その環境を最大限に活用してもらうための努力も惜しまない。学生にはID配布の際に、ITの基本やインターネットのルール、PC利用マナーをガイドブックやe-Learningで身につけさせている。

「福大のサービスは多岐にわたっていて、いかに少ない管理者で回していくかが重要。総合情報処理センター約20名のうち、トラブルやメール相談に対応するのは4、5名。教職員や学生を合わせて約25,000人になるので、学生によるアシスタントスタッフにも手伝ってもらいながら対応しています。」

─こうした日々のトラブル対応や相談を通じて利用者の声を集めたり、ニーズのくみ上げにつなげ、それを次のシステム改善に活かすという流れが、福大にはある。
今後の教育環境として、どんなビジョンを描いているのだろうか。

「『MeetingPerfe』はインターネット越しに使えるので、自宅に居ながら大学にいる教員とやりとりするといった使い方も可能です。遠隔での講義もぜひやってみたい。就職活動の際に、ちょっとした時間があれば教員に相談できる、ということも学生へのサービスとして整えていかないといけないと考えています。」

─海外への講義配信も視野に入れ、テレビ会議システムも導入済みだ。

「こうした取り組みを学内に広め、さらに福岡から世界に発信していけたらいいですね!」

(2011年2月時点の取材内容に基づいております)

お客さまプロフィール
所在地 〒814-0180 福岡市城南区七隈八丁目19番1号
学部/大学院 学部31学科/大学院10研究科33専攻
人文学部・法学部・経済学部・商学部・商学部第二部
理学部・工学部・医学部・薬学部・スポーツ科学部
学生数 20,112名(留学生121名/2010年5月現在)
創立 1934年(昭和9年)4月
公式ホームページ http://www.fukuoka-u.ac.jp/
福岡大学

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