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成長戦略

NTT-ATの成長戦略 ― ソリューションビジネスを軸に1000億円企業へ ―

NTTアドバンステクノロジ(NTT-AT)は中長期の成長戦略を策定し、10年後をめどに売上高1000億円、全体の60%を一般市場で上げる方針を打ち出している。一般市場の拡大はソリューションビジネス、高付加価値プロダクトビジネス、グローバルビジネスにフォーカスするという。花澤隆社長に成長戦略の輪郭や要点を聞いた。


中長期の成長戦略を策定した。そのポイントについて

花澤社長1 当社の最大ミッションであるNTT研究所の幅広い成果を世の中に普及させていくには、ある程度の企業規模が必要だ。当社はさまざまなビジネスを展開しており、当社の規模ならば、売上高1000億円程度が妥当だと考えた。そのため10年後をめどに1000億円企業になることを目標として打ち出した。
その目標に届けば、利益にも余裕ができ、いろいろな戦略が実践しやすくなるだろう。
一方、今後NTTグループからの受注が大きく伸びることは想定しにくく、その上、NTT持株会社からは一般市場での売上拡大を期待されている。周知の通り、一般市場は競争が激しく、明確な戦略を講じなければ太刀打ちできない。そういう背景もあり中長期ビジネス戦略を策定した。
具体的な戦略の柱は「ソリューションビジネスの拡大」「高付加価値プロダクトビジネスの推進」「グローバルビジネスの推進」の3本。その中で要になってくるのがソリューションビジネスの拡大だ。
ソリューションビジネスについては、事業領域を選定し、リソースを集中させることでビジネスにつなげていきたい。当面は、「自治体向けサービス」「オフィス整備」「多拠点支援」「屋外設備の保全」「サービスプロバイダ支援」の5本柱に注力する方針だ。
例えば自治体向けサービス。当社には「議会会議録検索システム」や「防災情報伝達制御システム」などの商品で築いた自治体への販売実績・営業チャネルがある。この強みを生かしていきたい。
またオフィス整備分野では、オフィスのリロケーションを中心にネットワーク構築・運用からアプリケーションサービス、セキュリティ対応まで多彩なソリューションを提供する。ビデオ会議システムや電力見える化ソリューションなどをワンストップで提供できる点も強みだ。
多拠点支援分野では、数1000拠点という大規模導入実績を有するマルチキャスト高信頼ファイル配信技術が核となる。POS関連データ、映像データをNTT研究所の映像配信技術で培ったIPネットワーク技術で配信するサービスに力を入れていく。

花澤社長2 屋外設備の保全分野では、映像による設備劣化の監視、ICタグ、防錆塗料などの技術を組み合わせた課題解決を提供。光ファイバセンシング技術を核に災害などの瞬時的な変化だけでなく、設備劣化を含めた時間的な変化の管理や予測を前面に押し出していきたい。
サービスプロバイダ支援分野では、映像配信やメディア処理技術といったシステム開発実績をベースに、システム構築後の24時間遠隔監視やコンタクトセンタなどの運用・保守までサポートできる体制が当社ならではの特長だ。具体例を挙げると、当社は横浜みなとみらいに「ICT-24オペレーションセンタ」を設置し、24時間365日で遠隔監視・コンタクトセンタを展開している。またVMwareやマイクロソフトなど各種ベンダ認定資格を保有した人材がおり、お客様の業務アプリケーションの開発、構築後の運用・保守をワンストップでサポートできる。
ホームICT関連の開発経験を活かして、ホームICTサービス提供者向けのシステム開発と運用に参画していきたい。

国内で好調な商品・ソリューション

昨年度の商品販売のトップ3は、アプリケーション・デリバリ・コントローラ「BIG-IP」などの米国F5社製品、「IP告知システム」、「光宅内配線コード」であった。
コンタクトセンタ向け通話録音・サービス品質向上を支援する「Impact360/ULTRA」や先述したICT-24オペレーションサービスも好調だ。
ソリューションに関しては、自治体向けの「Discuss」(会議録検索・議会映像配信システム)や「HOUSAS」(家屋評価システム)関連ソリューションが堅調。オフィス整備関連ではビデオ会議などの映像ソリューションや、電力見える化ソリューション、仮想化NI/SIソリューションの調子がいい。
そのほか多拠点ビジネス向け情報配信ソリューション(衛星からの置換)、ポータルサイト運営事業者向けソリューション、ホームICT関連ソリューションでも動きが出ている。

グローバルビジネスの推進について

花澤社長3 国内市場が縮小する中、一般市場の売上拡大を図るためには海外市場に活路を求めなければならない。ここでのキーは技術で差異化した高付加価値プロダクトだ。
例えば、光通信市場の伸張が期待される中国市場に対しては、光コネクタ関連商品の販売拡大をねらう。高品質映像のニーズが高い北米市場には、映像・ネットワーク関連商品を販売。世界の半導体部品の供給元である台湾や韓国に対しては窒化ガリウム(GaN)など半導体基板を積極的に売り込んでいきたい。このように市場特性に応じた販売推進を行っていく。
現状は北米、中国での光コネクタ関連商品が好調で、GaNについては世界市場でシェア30%をねらえると考えている。
極めて高い信頼性を誇る光伝送路用スイッチや、音声会議用多機能マイク・スピーカー「RealTalk」シリーズは、今後全世界に向けて販売を拡大していきたい。
また海外キャリア向けネットワーク関連のコンサルティングビジネスも手がける方針だ。現在ビジネスモデルやフィージビリティについて検討を行っている。
グローバルビジネスを拡大するためには、国内外のNTTグループ会社との連携が不可欠であり、関係各社との密接な関係構築に努力している。

NTT-ATのビジョン「Integrated-Value Provider」について

われわれ自身を再定義したいと考えている。
まず当社は、一部では製造も行っているがメーカではない。商品を企画、技術開発し販売することをミッションとする企業であることを明確に述べたい。換言すれば、工場を動かして大量生産するような企業ではないということだ。そのようなフェーズの商品は外部に委託することになる。
また先進技術を駆使してビジネス展開を図ることが当社の基本である。
ソリューションについても、お客様の業務内容を勉強して、スクラッチでソフトウェアを開発しソリューションを提供するというようなことはやらない。あくまでも汎用的に作ったコアになるプラットフォームとでも言うべきソフトウェアと、社内外の製品、商品を組み合わせ、また必要に応じてカスタマイズする。このようにインテグレーションして価値を提供するというスタンスだ。 要するに先進技術を組み合わせてお客様に役立つ多彩な価値を提供する企業なのだ。当社にはたくさんの独自技術もあるが、真髄は技術を組み合わせる力にある。これが当社のビジョン「Integrated-Value Provider」の意味だ。

Integrated-Value Providerを目指して。
そのため他社製品を活用し、販売することにも躊躇はない。国内外ベンチャー企業の技術でもいいものであれば積極的に連携していく。
ただし、私は社員に対し「当社は技術を価値に変換して提供する企業である。提供するのはあくまで価値であって技術ではない。まずはお客様にとっての価値が何かということを考えて、それに対してわれわれの先進技術がどう使えるのかという発想をしてほしい」と訴えている。

「マルチブランドの展開」を標榜している。そのポイント

われわれが何者かを、お客様に知ってもらうためにはブランド戦略が重要だ。
周知の通り当社にはNTT研究所が開発した多くの先進技術があり、それらをベースにさまざまなビジネスを推進している。
そのため「NTT-ATはどんな会社ですか」と聞かれても、打てば響く簡潔な言葉で説明するのがなかなか難しい。ときどき「事業の幅を広げすぎてリソースの集中がうまくできていないのではないか」と指摘されることもある。
幅広い事業領域を持つことにはもちろんデメリットもあるが、当社の場合それを上回るメリットがあると思っている。組み合わせる技術をたくさん持っている方がお客様に提供できる価値も高くなる。ただ、お客様などに当社のことをわかりやすく説明したり、公に情報発信するときは一工夫が必要だ。
そのため「マルチブランド」というキーワードを前面に押し出すことにした。
つまり、お客様に知ってほしい情報を、適切に伝えるということだ。例えば、物性科学を研究する大学の先生には、「先進の光&ナノプロダクツのNTT-AT」と伝えればいい。ネット事業者には「映像×ネットワークのNTT-AT」あるいは「自然言語ソリューションのNTT-AT」と伝えればいい。お客様に当社のすべてをご理解いただく必要はない。デフォルメが必要だ。そういう観点から「マルチブランド」を標榜している。 「映像×ネットワーク」ロゴ、「光&ナノ 先進のプロダクツ」ロゴ

信条

「自然に生きる」「平凡に生きる」というのが信条。中学卒業のときに、国語の教師が贈る言葉として「平凡に生きなさい。でも平凡に生きることは難しいですよ」と話した。当時は意味が理解できず、その意味がわかってきたのは会社に入ってからだった。
いろいろな運命があって、今日にたどり着いたわけだが、そこがどんなところであっても与えられた環境を大事にして、つねに前向きにベストを尽くして、喜びを感じながら生きることが大切だと思う。

※ 本コンテンツは、2011年11月21日付の「電経新聞」に掲載されたインタビュー記事です。
  発行者の許可を得て掲載しています。



2020年度売上高1,000億円を目指すNTT-ATの新成長戦略(2010年11月12日)

2020年度売上高1,000億円を目指すNTT-ATの新成長戦略「表紙」


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2020年度売上高1,000億円を目指すNTT-ATの新成長戦略「目次」

※ 本コンテンツは、「ビジネスコミュニケーション 2010 Vol.47」に掲載された特集記事です。
  発行者の許可を得て掲載しています。